
「ビバラ」の愛称でお馴染みの音楽フェス「VIVA LA ROCK」。会場では素晴らしい数々のライブパフォーマンスのほか、SVOLMEとのコラボグッズの販売も行われています。年々盛り上がりをみせるVIVA LA ROCKは2019年で6回目の開催を迎えますが、MUSICA&音楽ジャーナリストの鹿野淳さんとともにこのフェスを牽引してきたのが、ディスクガレージの河津知典さんです。
これまでコンサートプロモーターとして音楽業界に従事してきた傍ら、VIVA LA ROCKだけでなく音楽業界人によるフットサル大会の「音蹴杯」(おんしゅうはい)を企画・運営する河津さんですが、現在は3ピースロックバンド「SHISHAMO」のマネジメントも務めています。音蹴杯やVIVA LA ROCKに関するストーリーや、今後の展望について河津さんに伺いました。
2019.03.22
未来のスター候補が“ロック”と出会う機会を作りたい
河津知典さん(株式会社ディスクガレージ)

アーティストが“ガチンコ勝負”するフットサル大会をプロデュース
- アーティストがフットサルを楽しむための「音蹴杯」を企画された河津さんですが、なぜこのような大会を始めようと思ったのですか?
「大人になってから仕事以外の趣味で打ち込める運動会みたいなものがあるといいな」と思っていたところ、音楽業界にサッカー好きな人が多いのでフットサルを運動会みたいにやりたいね、というところから始まりました。2006年に8チームで初開催してから「またやりたい!」となってそれから毎年開催しています。音蹴杯はお客さんを入れない完全プライベートかつ、フットサルだけに集中できる大会で、「K・T・G」(ケガなく、楽しく、ガチンコで)というスローガンの下開催されています。でもみんなガチで熱くなりすぎて、肝心のケガなく、楽しくの部分を忘れてしまうぐらいなんです。だから、今はK・T・GにM(揉めないで)を加えてK・T・G・Mになっています(笑)
- 年々盛り上がっている音蹴杯ですが、今年は2日間開催ですね。
さいたまスーパーアリーナで毎年スタジアムモード(6面コート)で音蹴杯を開催してきましたが、今回はコミュニティアリーナ(4面コート)を使用することになり、2日間開催(3月26,27日)となりました。
最近はみんな勝ちにこだわりすぎて… 音楽業界の人や演者さんのための大会だったところが、いわゆる「助っ人」でサッカーが上手すぎる人が参加するようになっていったんです。そういうことから、2日間開催の初日は音楽業界人や演者さんだけで構成されているチーム。2日間は助っ人もごちゃまぜのチームの日にしました。
これまでは1日開催で32チームほどでやってきましたが、今回は2日間でそれぞれ16チーム、16チームの計32チームの参加です。音蹴杯は「極上の大人の遊び」とナオト・インティライミさんが言い始めたのですが、みんなプレーしながら生き生きとしています。
これは商業的なイベントではないのですけど、みんな喜怒哀楽がすごくて、1年に1回でも本業と違うことで一生懸命になれる機会があるのは凄く良いことだと思っています。アーティストや演者のための大会ですが、参加者から長く続けていきたいと思っていただける大会にしていきたいです。
アーティストが“ガチンコ勝負”するフットサル大会をプロデュース
- 2014年から始まったVIVA LA ROCKですが、始まりはどういったキッカケでしたか。
MUSICA&音楽ジャーナリストの鹿野淳さんが音蹴杯に出ていて「2012年頃に、一緒にロックフェスを作りたいね」というところから次第に準備を進めました。運良く、2014年のゴールデンウィークのさいたまスーパーアリーナを押さえることができたので、初年度のVIVA LA ROCKを開催できる事になりました。そこで、音蹴杯のような楽しいフェスにしたかったので、VIVA LA ROCKのコンセプトの中にあるサッカー要素としてSVOLMEに関わっていただくようになって、一緒にコラボグッズを作ったり、会場の外でフットサルをできるようしていきました。
- 今回6回目の開催にして初の4日間開催です。今後はどういうフェスにしていくのでしょうか?
VIVA LA ROCKは、埼玉県で開催しているフェスなので、地元の埼玉の人のためにできることを意識しています。例えば、VIVA LA GARDENというエリアではチケット持っていない地元の人のためにフリーで入れるスペースを設けています。子供たちがロックと出会う機会を作って、それが音楽をやるキッカケになればいいと思っています。今は世の中にロックフェスがたくさんあるので、継続していくことが大切だと思っています。
これまでに埼玉で大きい音楽フェスがなかったので、地元の人に愛されるフェスを作りたかったですし、地元の人からスターが出ればいいな、と思ってフェスを作ってきました。アーティストを目指す、埼玉県内在住の10代を対象にしたオーディション『ティーネイジサイタマ』を今年も開催しますが、彼らが将来メインステージに上がってくれると嬉しいですね。2014年から始まって、ビバラはもう6回目という気持ちです。毎年改善点も多くて運営するのは大変なことですが、やはりこのフェスを継続していくことには大きな意味があると思っています。
- 最後に音楽業界に長く携わる河津さんにお伺いしたいのですが、スマートフォンの普及により以前と音楽の聴き方が変わりました。今後ライブを中心に音楽業界はどう変わっていくのでしょうか。
これまではCDが売られてきましたが、今はスマートフォンでも音楽を聴く時代ですので、スマートフォンで聴くことを想定している作り手もいます。でも、ライブに行って生で体感することに関しては、音楽だけでなくスポーツでもそうですが昔と一緒です。ライブに付随するもの、例えばチケットは紙からスマートフォンの画面提示に変わっていますが、ライブを生で見て感動することには変わりません。便利な世の中になりましたが、結局は生で見せるのものを大切にしています。だから、もしCDが売れなくなっても、ライブがこの先なくなることはないと思っています。
- 河津さんが務めてきた「コンサートプロモーター」はどういう仕事ですか。
コンサートプロモーターは、担当しているアーティストのコンサートの会場を押さえて、いつチケットを売り始めるか、いつその情報公開をしていくかという流れでコンサート会場を満員にしていきます。ライブ当日は現場の運営に当たりますが、この仕事のキモはコンサートをいつ、どこで開催するかを「決めること」です。集客が見込める週末は、日本だけでなく世界中のアーティストが押さえたい枠です。また、2020年の東京オリンピックでは開催期間中に試合会場がコンサート会場として使用できないことから、今は会場不足となっていてスケジュールが前倒しになってきています。
およそ1年半~2年先のコンサート会場を決めていくのですが、すごく人気があるアーティストだと先のスケジュールが読めます。でも、これからヒットするであろうアーティストを担当する場合には、数年後のヒットを予測して会場を押さえていくのでコンサートプロモーターには「先を読む力」が必要になってきます。そうやって仕事をやっていくうちに、アーティストたちがライブハウスでやっている段階から、将来人気が出るのかどうかを見極めている感じです。