2020.02.07

SPECIAL INTERVIEW:柏木 陽介 選手

今季からSVOLMEと契約した浦和レッズ・柏木陽介。日本屈指のレフティはなぜSVOLMEを選んだのか。
そして、これからの浦和レッズ、日本サッカー界への思いとは――。
今季加入10年目を迎える“浦和の太陽”の本音に迫った。

「この人たちと一緒に」と思った

- 今季からSVOLMEと契約されましたが、数あるメーカーからSVOLMEを選んだ理由を教えてください。

スパイクが良かったのはもちろんですが、それだけでなく「会社として素晴らしい」と思ったからです。
色々とお話しさせていただく中ですごく真摯に自分と向き合ってくれて、自分がやりたいこと等も含めて考えたときに「この人たちと一緒にやらせていただきたい」と強く思いました。目線が合うというか、それが一番ですね。

- 「やりたいこと」というのは具体的にどんなことですか?

色々あります。例えばスパイクであれば、当然僕が意見を出すことで品質がより良くなれば良いと思いますし、同時に「自分でデザインもしてみたいな」とか。服とかもすごくオシャレだし、SVOLMEさんと一緒にやらせていただくことでできることってたくさんあるんじゃないかなと考えています。
今のところ全てにおいて文句のつけどころがない。すごく満足しています。

- 試合で実際に履かれてみて、シューズの感触はいかがですか?

すごく良いですよ。素材でいうと僕はカンガルー革が大好きなので、要望通りそれで履けているのもありがたいです。
最初に履いてみた時に「少し滑るからちょっと(ポイントを)削って欲しい」とか、そういう細かい要望を出して修正してもらったりはしましたけど。その後はとても快適に履けていますね。

- カンガルー革がお好きということは、柔らかめの感触のものがお好みなんですね。

そうですね。柔らかめで締め付けられないものが好きです。
最近は紐が無くて足袋みたいにぴったりフィットするスパイクとかも出ていると思うんですけど、僕個人的にはあれが一番ダメなんです。
窮屈感が一番苦手なので、スパイクも紐をほどよく緩めてゆったり大きめに履きたくて。

- そうなんですね。一般的にはぴったりフィットするサイズの物を履く選手が多い気がするのですが。

普通はそうだと思います。僕の場合はスニーカーも緩めに履きたいし、本当なら革靴ですらゆったり履きたいタイプなので。
ぴったりのサイズで履くなら26.5cmくらいなんですけど、今実際に履いているのは27.5cmです。窮屈感が全部嫌いなんでしょうね。閉所恐怖症ですし(笑)

- ゆったり履くことでプレーする際のストレスを軽減してらっしゃるんですね。素材とサイズ感以外には何かこだわりはありますか?

「変わったデザインのものを履きたい」というのは昔から思っていましたね。人が履いていないスパイクを履きたいなと。

- なるほど。そういう意味では、今まさにサポーターの方の中でも「今年の柏木選手のスパイク、あまり見ないデザインだけどどこのメーカーのだろう?」と思ってらっしゃる方もたくさんいそうですね。

だと良いですね。もうちょっと広めていけたらなと思っているんですけどね。
自分がゴールを決めたりして活躍すればテレビでの露出も増えるから、早くそうしたいなと思っています。
良い物を提供していただいているので、あとは僕が活躍してSVOLMEをもっと広めていきたいです。

- プロ選手の履くスパイクだと、選手個々でそれぞれ個別仕様になっていてお店ではそのレプリカが販売されることもよくあるようですが、今回のこのスパイクは実際に柏木選手が履かれているのと全く同じ仕様の物が店頭に並ぶそうですね。

そうなんです。デザインのみならずスパイクとしてのクオリティも抜群なので、ぜひ多くの人たちに履いてもらいたいですね。

自分が頑張って結果を出すことで、
サポーターや周りの人を含め
みんなを笑顔にしたい。

- 柏木選手は今季浦和在籍10シーズン目で、今年32歳になられますね。
徐々に中堅からベテランに差し掛かっていく年齢かと思いますが、若手だった頃と比べて試合や練習に向けた準備のやり方等に変化はありましたか?

昔に比べると、練習場に行くのがとても早くなりました。以前は開始時刻の少し前に着いて軽く準備してすぐ練習に入ることもありましたけど、最近は練習開始の1時間半前には大原のグラウンドに着いていますね。
トレーナーさんに身体を診てもらって、しっかり身体を動かしてからじゃないと練習に入れないので。試合前も、「何が今必要なのか」っていう準備を年々入念にするようになってきていて。
歳を取ったなって思いますけど、もうその辺りはしっかりやらないとプレーできなくなってしまいますから。

- やはりご自身の身体の変化を感じることもありますか?

すごくありますよ。疲れも取れにくいし、怪我もしやすくなったなと思います。小さな怪我が増えたし、痛みに弱くなったかなというのはありますね。
昔だったら「これくらい平気」と思っていたのが、今は「休んだ方が良いかな」となったり。
実際、変に無理をしてしまうとそれが次の大怪我に繋がってしまうこともあるので、自分の身体としっかり向き合って判断するようにしています。

- 身体のケアのためにご自宅でされていることは何かありますか?

ノーマテックという、脚を圧迫してリカバリーを早くする道具は毎日使っていますね。あとはストレッチポールを転がしたりもします。
色々試してきた中で、やってみて効果があったものを続けている感じです。それと寝るのがすごく早くなりました。家にいる時は22時前にはベッドに入って、どんなに遅くとも23時前には絶対眠っていますね。

- 年齢とともに身体も徐々に変化する中で、それに合わせてコンディション調整のやり方も変化してきているんですね。

そうですね。気付けばもう随分長いことサッカー選手としてプレーさせてもらっているので、自分の身体の特徴はよく分かっているつもりです。
できる限り長くプレーを続けられるように、やるべきことはきちんと続けていきたいと思います。

- レッズ加入10年目ということで、もうすっかりチームの顔ですね。今後チームに対してどう関わっていきたいというビジョンはありますか?

自分で決められることではないけれど、国内で移籍をしたいとは思っていないですし、このチームでキャリアを終えることができたら幸せだなと思っています。
浦和レッズがクラブとしてもっと強くなるためにはどうしていけば良いかというのを常に考えていますし、地域貢献に目を向けても、もっとできることがあるのではないかと思います。
実現できるのが現役中なのか引退してからなのかは分からないですけど、そういうのは常に考えています。

- 引退後、クラブに残るという選択肢もありそうですね。

まだ先のことなので分かりませんけど、場合によってはそれも選択肢の一つになると思います。
僕は選手だった人がフロントに入って行くべきだと思っているので。別に自分が浦和の社長になりたいとかではなく、今後日本サッカー界が徐々にそうなっていくべきなんじゃないかと思うんですよね。

- 第一線でプレーした経験がある人(元選手)こそ、フットボールの“現場”を一番よく理解しているはずですもんね。そういう人が上に行かないといけないと。

そうですね。当然経営の勉強もしないといけないですけど、選手がフロントに入ってクラブを改革していくのもありなんじゃないかと。
というより、日本サッカー界としてもうそういう段階に入って来ているんじゃないかと思うんです。

- Jリーグ開幕から四半世紀以上が経って、日本サッカー界としてもうそういう段階に来ているのではないかということですね。

そう思いますね。僕個人としては、今は現役選手としてピッチで良いプレーをすることがもちろん一番大事です。自分が頑張って結果を出すことで、サポーターや周りの人を含めみんなを笑顔にしたい。 でもゆくゆくはそういうところに働きかけていくのが、サッカー界全体への貢献に繋がるんじゃないかなと考えています。
(撮影/軍記ひろし 取材・文/福田悠)

柏木 陽介 選手

1987年12月15日兵庫県神戸市生まれ
サンフレッチェ広島ユースから2006年にトップチームへ昇格。
2010年に浦和レッズへ完全移籍。
2016年より背番号10を背負い、この年に自身初のJリーグベストイレブンを受賞。
2017年にはAFC チャンピオンズリーグ優勝に貢献。
2013年と2018年にはJ リーグアシスト王に輝いた。
日本代表として国際Aマッチ11試合出場。