2016年よりSVOLMEが特別協賛している北海道マラソン。2017年はファンランも含め計18962人が参加しました。今年は昨年に引き続いて、2020年東京オリンピックのマラソン日本代表を決めるMGCへの出場権を狙う豪華メンバーたちの熱戦が期待されます。

その北海道マラソンの大会事務局をここ10年近く牽引してきたのが、北海道新聞社の寺町誠志さん。北海道育ちの寺町さんに、年々盛り上がりをみせている北海道マラソンでのこれまでの取り組みとその想いについて伺いました。

2018.08.21

「北海道マラソンがどうやって年中、人の心の中にあり続けるか」北海道マラソンと関わる 方々とともに夢を追いかけていきたい

寺町誠志さん(北海道新聞社 事業局・北海道マラソン事務局)

ニューヨークで180度変わったマラソンへの気持ち「やるしかないな...!」

- 寺町さんはこれまでどうのようにして北海道マラソンと関わってきたのでしょうか。

1987年の第1回大会から、北海道新聞社が大会事務局として北海道マラソンの中心的な存在を担ってきて、私は2010年より北海道マラソンの担当となりました。自分が担当になるまで、実はマラソンのことをよくわかっていなかったんです。弊社では、今大会のロールモデルとしてアメリカのニューヨークシティマラソンへの視察をこれまで行ってきました。
(※ ニューヨークシティマラソン:現在の世界6大マラソンの1つで1970年から開催されている。2017年の参加者は5万人を越えた) 私も2009年にニューヨークに赴き「マラソンってこんなにすごいのか...!」と、肌で感じました。大会翌日には犬の散歩をしている女性が完走メダルを掛けていたのを見て「人々の生活のなかに“マラソン”という文化がある」そう感じて、私のマラソンに対する気持ちが180度変わりました。
感銘を受けた私は、「これはやるしかないな...!」と思いました。今でこそ、ニューヨークシティマラソンのような都市型マラソンが日本全国で開催されていますが、北海道マラソンは第1回の1987年からエリートと市民が一緒に走る大会を目指してきました。そういう意味では実は北海道マラソンは日本最初の「都市型マラソン」なんです。

- 寺町さんが北海道マラソンの担当となってから、ここまで大規模な大会にするまでに何を変えていったのですか。

今でこそマラソンブームで当たり前の発想かもしれませんが、まずは「市民ランナーの層を大会に多く取り込みたい」と考えました。市民ランナーのマラソンの平均記録として、男性が約4時間35分、女性は約5時間10分という統計があります。
それをもとに、2009年の第23回大会から制限時間を4時間から5時間に引き下げ、それに伴い定員を5700人から8000人に増やしました。また、2012年の第26回大会からマラソンの発着点を大通公園に変更し、1万人以上のランナーの受け入れが可能となりました。
2013年の第27回大会では、さらに参加者の門戸を拡げるべく、10kmちょっとのファンランを新設しました。
今では大会も徐々に規模が大きくなり、お陰様で北海道だけでなく全国各地、世界各地からランナーを迎えることができるようになりました。また、札幌市民の方々からの大会への理解もより得られるようになりました。

北海道マラソン:補足データ

・第1回(1987年)参加者は439人
・第23回(2009年)コースを大幅に変更し、制限時間を4時間から5時間へ、定員も8000人に引き上げられる(この大会から寺町さんが北海道マラソンの事務局員となり、その年の秋にニューヨークシティマラソンを視察)
・第26回(2012年)定員を11000人に拡大し、スタート時間を午前9時に変更。発着点を大通公園とした
・第27回(2013年)ファンラン、11.5kmの部を新設
・第29回(2015年)はまなす車いすマラソンと合同開催
・第30回(2016年)この年よりSVOLMEが特別協賛となる
・第31回(2017年)15686人出走、12659人完走、完走率80.7%、ファンラン3276人出走、合計18962人が参加

北海道マラソンをもっと身近に。キーワードは「ジブンごと化」

- 2016年から北海道マラソンがSVOLMEを特別協賛として迎え入れたキッカケはどのようなものでしたか。

2015年のある日、以前より知り合いだったSVOLMEの渡邉祐二社長からお電話を頂きました。2015年で、それまでの北海道マラソンのオフィシャルサプライヤーとの契約がひと区切りとなったタイミングで、トントン拍子で話が進んでいきました。
何よりも渡邉社長の熱意を感じましたね。自らも北海道マラソンでこれまでに新しい取り組みをしてきたように、渡邉社長と「何か新しいことに挑戦できるのではないか」という期待感がありました。大げさかもしれませんが「一緒に夢を追いかけていく」という気持ちになりました。
2016年と2017年の2大会のSVOLMEプロデュースの大会Tシャツは大会参加者からとても好評です。30回大会のTシャツのデザインは30個のドット(大きな点)を中心としたデザインになっていて、大会の歴史、ストーリーをTシャツで表現しています。


  • 北海道マラソン2016 フルマラソン参加記念Tシャツ


  • 北海道マラソン2016 ファンラン参加記念Tシャツ

デザインにこのような“工夫”を施すことで、大会の歴史やストーリーを知っていただきたいですね。今年でSVOLMEのTシャツは3回目になりますが、今年のTシャツのデザインもぜひ楽しみにしてください。

- これからの北海道マラソンを寺町さんが今後、どのようにしていきたいでしょうか。

1つ目は「北海道マラソンがどうやって年中、人の心の中にあり続けるか」ということを考えたいです。年間を通じて北海道マラソンに関連するイベントなどでどうやって付加価値をつけていけるか、これが今後の課題です。北海道マラソンならではのホスピタリティの追求です。
2つ目は北海道マラソンと関わる層をどうやって増やし「ジブンごと化」してもらうか、ということです。今年は北海道の子どもたちを対象に「チャレンジ・キッズラン」というイベントを実施し、大会当日子どもたちは2.195kmを走ります。
なぜ2kmではなく、2.195kmかというと、夏休みを活用して参加者それぞれが複数日かけて40kmを“走り溜め”してもらい、北海道マラソンのフルマラソンスタート後に同じ場所からスタートし、「2.195km」を走ってもらいます。子どもだちや保護者の方々に、北海移動マラソンを「ジブンごと化」してもらえる機会になると考えています。こうした企画をたくさん作って行くことが今後の本大会の発展に欠かせないテーマです。
(※ 北海道150年ウィークエンディングイベント・北海道マラソン 「チャレンジ・キッズラン」 北海道命名150年の記念事業として開催するランニングイベント。北海道在住の小学校5、6年生150人が夏の札幌を駆け抜ける。SVOLMEも協力)

北海道マラソンは32回の歴史があり、日本で唯一夏に行われる本格的なフルマラソン大会です。男女ともに東京オリンピックの1次選考に指定されているのは、全国でも北海道マラソンだけです。エリートランナーと、2万人の市民ランナー、車いすランナーに、ブラインドマラソンランナー。そして今年は子供たちも参加します。
そのステージを創ってくださるのは、運営スタッフ、約4000人のボランティア、大歓声を送る沿道の観客と、テレビ観戦する全国のマラソンファン。さらにSVOLMEさんをはじめとする、想いを共にし、一緒に大会を創ってくださるスポンサーの方々です。
おかげさまで、非常に素晴らしいカタチに大会は成長しています。北海道マラソンの可能性は無限大です。40回、50回さらには100回大会に向けて、必ず前年を超えた魅力を発信出来る大会にしていきたいと思います!
皆さん、これからもよろしくお願いします!