SVOLMEがサプライヤーを務める岐阜県のサッカー強豪校の一つ「帝京大学可児 高等学校・中学校」。
2003年の中学サッカー部創設を皮切りに、現在では高校サッカー部男子・女子チームまで展開している。
創設から18年。いかにして強豪校へと成長したのか?その秘訣を創設時の監督であり
現在は高校サッカー部の監督として指導に当たっている仲井正剛監督のインタビュー、日々の練習風景、
そしてJリーグ湘南ベルマーレへの入団が内定しているチームの主力・鈴木淳之介選手の言葉から紐解いてみる。

2021.11.12

Inside Story ~帝京大学可児高等学校サッカー部~

仲井さんが帝京大可児高校サッカー部を引き受けることになった経緯をお聞きしたいです。

私はスポーツクラブやスイミングスクール・サッカースクール事業をしている株式会社コパンに勤めております。2003年中学サッカー部発足時に、弊社と帝京大可児中学が業務提携をし、帝京大可児中学サッカー部に携わるようになりました。当初は、その中学1期生が高校に上がってから高校サッカー部を強化するという話だったのですが、岐阜県の1年生大会で優勝できたので、その勢いのまま予定より前倒しで翌年2004年から高校サッカー部も強化指定部になりました。

確かにいきなりの優勝には驚きを隠せないですよね。そのなかで仲井さんはいつから高校の監督に就任されたのでしょうか。

周りの皆さんは2004年に高校の監督に就任したと思っておりますが、2004年入学の高校1期生が3年生になるまでは、高校の監督は別の方が指導しておりました。2006年の高校1期生が3年生になった時に監督に就任することになりました。

その後2011年に一度監督を離れて、2019年に改めて高校サッカー部を率いることになったと思うのですが前と後で比べて、チームに対する印象の変化などはありましたか?

”ボールを大事にするサッカー”ということを意識して立ち上げて、そのテクニカルな部分は継承されていたのですが、’サッカーに対する取り組み’ということに関してはかなり薄れていました。私は”ボールを大事にするサッカー”と、”サッカーを通じて人間力を高める”ということも併せてこの両輪でやってきたつもりで、この後者の部分が疎かになってしまっていた状態でした。それが東海プリンスリーグでは岐阜県代表として保っているだとか、インターハイは出場できるだとか一定の力はつけていたものの、選手権においては6年に1度しか出ていないということに繋がっていたのでは、と感じました。改めて率いた1年目は特にこの”人間力”の部分に力と時間を注ぎました。

Profile_なかいせいごう◆1979年8月6日生まれ。2006年、帝京大学可児高等学校サッカー部の初代監督に就任し、2011年まで指導にあたる。2012年より中部大学サッカー部の監督、コーチを歴任し、2019年より再び帝京大学可児高等学校サッカー部に就任。

”人間力”というのは、部の活動テーマにも掲げられている文武両立も含めてのものなのでしょうか。

そうですね。細かく言ってしまえば、そういうところまで突き詰めてやりたいです。とりあえずいつも選手たちに伝えるのは”考えること”。サッカーにおいては、相手がいて、心拍数が上がっている状態で、考えないといけない。だからこそ、日常から考えよう。相手がいない、心拍数が上がっていない、そういうときに考えられなかったら、グラウンドでは考えられない。こういうことを常々伝えています。これは例えば授業中に、こっちにした方が良いのか、それともこっちか、と考える。騒いでいるのか、静かにしている方が良いのか、静かにしている方が良いに決まっているし。それを考えないから騒いでしまう。どちらが良いのかと考えない。けれども怒られて、どちらが良いのか、と聞かれると考えることなくして正解を選ぶ。こういう簡単な部分から、個人個人の意識を高めていきました。私にとっては毎年のことですが、学生にとっては大事な一年一年なので、2019年から新たに率いることになって何とかしてあげたい、という気持ちが強くありました。ただ個々が一生懸命にやったとしても、自分がやりたいことしかやっていない、そのような組織としての課題はあったので、全部員100人の思いを背負ってプレーしているのがトップチームなのだ、と。それをまずトップで試合に出ている選手たちに強く求めました。この思いを背負って強い気持ちでプレーできるようになれば、例えサブであっても応援している選手たちの思いを背負っていれば、悔しい思いも何とか我慢して、自分にチャンスがきたときに力が発揮できる。それまでに負けたシーンなどコーチたちに聞いていると、メンバーに入れないから文句を言っている選手がいる、とか、スタメンじゃなかったから文句を言っている選手がいる、だとか。そんな雰囲気でやっても、リーグ戦ならサッカーのスキルで勝てるかもしれないけれど、こと選手権にかけている想いというのは高校生はやはりすごく強くて。そのなかで確率をあげていく作業をするということにおいては、この気持ちの部分が決定的に足りない。初めのころは、私が求めているものと選手のプレーにギャップがあったので、特にこの部分の改善に1年目は特に時間が掛かりました。逆に今はそれが浸透してきています。2019年に1年生だった選手たちが私からそれを求められてきた。今となってはトップチームの選手は当たり前にできています。

昨年の選手権や今季のリーグ戦を見ていても個々の意識レベルが高くて、大きなチーム力に繋がっているのかなと感じます。それが”考えること”や進学実績など、サッカー以外での成果に結びついているようにも思います。改めて、仲井さんが思う”帝京大可児サッカー部”の強みを教えていただけますでしょうか。

一人一人が考えられる組織になってきたというメンタリティ的な部分はやはり強みです。ただ、全国でもっと勝ち進んでいくためには、更に高みを目指す必要があると思っています。サッカーにおいての強みで言うと”ボールを大事にする”こと。うちの場合は相手の逆を取って、前進していく。パスサッカーとよく言われるのですが、私はパスサッカーだとは思っていなくて。ドリブルでボールを大事にするも良いし、パスでボールを大事にするでも良いし、我々は”運ぶ”という表現をするのですが、これを駆使して前進してゴールを奪いに行く。そのなかで常に選手に求めていることは、強弱を付けながら相手の逆を取ることです。これが帝京大可児サッカーの色です。

ありがとうございます。次が最後の質問です。これから本格的な選手権予選の戦いが控えていますが、全国へ向けての意気込みをお聞かせください。

我々は新型コロナウイルス感染防止対応として、9月の部活動は自粛しておりました。そのような状況でも創意工夫しながら強化に取り組んできました。 この2年間色々な制限の中で苦しんできた3年生の選手に、何とか全国大会の舞台に立たせてあげたい。そういう気持ちでやっています。去年、あの選手権の場で(1・2年生)16人が敗戦を目の当たりにしています(2021年1月3日、第99回大会3回戦vs青森山田、スコア2-4)。その選手たちがこの1年間、あの場で泣かない、という取り組みをしてきていると思います。何とかまずあの場に、戻れるように頑張ります。

鈴木くんが考えるチームの特徴を教えてください。

”ボールを大事にする”ということを強みにして、果敢にゴールを奪いに行くというサッカーをしているので攻撃力があるチームかなと思っています。

チームメイトとの私生活でいうと、どんな特徴がありますか?

みんな仲が良くて、話もしやすいですね。一緒に食事に行ったりしても誰とでも楽しくいれるというか、居心地が良いです。上下関係もあまりなくて、チーム全体で団結してやれている感じです。

この帝京大可児高校サッカー部に入る決め手は何だったのでしょうか。

4年前に全国ベスト16までいった代があって、当時それを見ていて面白いサッカーだなと感じました。一度練習試合をしたのですが、スコアでも内容でもボコボコにされて(苦笑)。このチームに入ってみたいなというのが決め手でした。

せっかくなので、SVOLMEへの印象があればぜひ聞かせて欲しいです。

前のメーカーはあまり印象深くなかったですが、SVOLMEは派手なウェアが多い印象です。自分は派手なのは嫌いじゃないので、トレーニングのときに着るとテンションが上がるので良いなと思っています。去年の選手権のときのウェアもかっこよかったですね。

ありがとうございます。最後に、自身の持ち味とプロの世界での抱負を聞かせてください。

持ち味は、パスとキープするドリブルです。今はより得点にこだわってプレーしています。 ゴールが奪えるようになれば、もっと良くなると思うので。このあたりは更に努力して高めていきたいです。

Profile_すずきじゅんのすけ◆2003年7月12日生まれ。岐阜県出身。180cm/71kg。ポジションはMF。サッカー歴はFC.DIVINE⇒SC岐阜VAMOS⇒帝京大可児高校。2022シーズンよりJリーグ・湘南ベルマーレに入団内定。